インターネットの利用が精神的健康に与える影響

長谷井信弘

 インターネット利用が我々の生活にもたらしたものは、計り知れない。インターネットは確かに便利なものであるが、便利であるがゆえに多くの社会問題も引き起こす。
 本研究では、インターネットがもたらした技術革新をどのように使えば、我々人間の生活がより豊かなものとなるのかを、ソーシャルサポートの増減という点に注目し、調査を行った。

 多くの社会的諸問題が起こっているとはいえ、既存のメディアにはない特性を備えた「電子メール」「World Wide Web」の登場が我々の生活に大きな利便をもたらしたこと明らかである。したがって、本研究では「インターネット利用は一様にソーシャルサポートを向上させるであろう」という仮説をたて分析を行った。

 研究1では、一般サンプルに対し郵送調査を行い、インターネット利用者と非利用者の間で、ソーシャルサポートにどのような違いがあるかを調査した。
結果は、インターネット利用者は非利用者に比べ、より多くの道具的サポートを受けていることがわかった。また、社会情緒的サポートはインターネット利用によって向上することはなかったが、低下することもなかったため、インターネット利用が「引き篭もり」のようなソーシャルサポートの低下を招くことはない、ということもわかった。
 
研究2では、インターネット上にホームページを開設している人々(ネットサンプル)にアンケート調査を行い、1日の電子メールの利用量と1日のWWW閲覧時間の違いが、ソーシャルサポートにどのような違いが現れるかを調査した。
結果は、以下の2つが明らかになった。
1. 電子メール利用が多ければソーシャルサポートを高める。
2. WWW閲覧時間が長ければソーシャルサポートを減少させる。


これらの結果から、「ソーシャルサポートを向上させるには、インターネットを利用したほうが良く、電子メールの利用はソーシャルサポートに向上させるが、WWW閲覧の時間が長ければ、ソーシャルサポートを減少させる。」ということがわかった。