日本人の平和意識について 〜集団的自衛権と戦争に対する意識〜
古木 健治
2001年春、小泉純一郎氏の内閣総理大臣就任によって、我が国がこれまで決して行なわなかった集団的自衛権の行使が、俄かに現実味を帯びてきた。そんな中、9月11日にアメリカで同時多発テロ事件が発生。アフガニスタンに対して報復攻撃を行うアメリカを支援するという形で、日本は自衛隊の海外派遣を行うことで集団的自衛権を行使するに至った。現在の日本の軍事外交は、憲法第9条との矛盾を極め、立ち行かなくなってきている。しじで、日本が今後、軍事的な意味でどういう道を辿っていくのか、あるいは、どういう方針を選択すべきなのか、また、その判断は何によって規定されているのかということについて調査を行った。
その結果、軍事的な判断のうち"抽象的判断"と"具体的判断"の2つで、判断の依拠する要因に違いが見られた。一つの命題として「集団的自衛権は行使すべきではない」ということを分かっていた("抽象的判断")としても、実際の紛争場面を想定してしまう("具体的判断")と、その命題は姿を消してしまい、「やられたらやり返す」という意識の度合いを示す"返報性尺度"によって大きく左右されるという結果が得られた。
また、抽象的判断における分析の結果、戦争を自分と関連の深い物事として捉えている人は、国際紛争を解決する手段として戦争を避けられないものであると考えており、そのため、集団的自衛権の行使に対して積極的な立場を取るということが分かった。