政治的寛容性の規定要因について

林 瑞樹

本研究は、ネットワークと政治意識との関係を考察したものである。研究目的は、所属集団の性質と、政治的社会化の過程が、個人の政治的寛容性に与えている影響について、調査的手法により明らかにすることにある。調査は東京都足立区に住む20〜79歳までの男女550名を対象に無作為に郵送調査を行った。調査を分析、及び考察した結果、政治的な会話をする集団の、他集団に対する寛容性やそこにおける政治的会話の頻度が高く、政治的社会化の過程における友人からの理解が深い者ほど、異なる意見に触れたり理解する機会が増え、政治的寛容性が高まることが明らかになった。また、本研究によって、政治的寛容性には下位概念があり、そのうち、家族、友人などの意見の一致要求に関しては、所属集団における同調圧力や、政治的社会化の過程における家族との議論経験、学校での暴力経験が影響を与えており、15,16歳における家族との議論経験が多く、学校のにおける暴力経験が少ない者や、所属集団の同調圧力が弱いものほど、意見の一致要求が弱まり、異なる意見について寛容になることが明らかになった。