絵を描く事の効用感とサイト読者との交流の効用感がイラストサイト運営に及ぼす影響の検討
友尻祐介
本研究ではパーソナル・ウェブページの一形態であるイラストサイトに着目し、その運営動機について対自己効用感・対関係効用感の2つを軸として分析を行った。対自己効用感は絵を描いたり自己表現するという行為そのものによって感じるメリットであり、対関係効用感はサイト運営を通じた人間関係の拡大や深化から感じるメリットである。 イラストサイトのウェブリングに所属しているサイトの管理者に対して調査への協力を要請し、ウェブ上で質問紙に答えてもらった。 結果、公開満足感、描画満足感、対自己効用感のそれぞれが高いほどサイトの継続意向は高くなることがわかった。対関係効用感とフィードバックは、サイトの継続意向に直接の効果を持たなかった。ポジティブなフィードバックは対自己効用感・対関係効用感の両者と正の相関があったが、ネガティブなフィードバックはそれらに効果を持たなかった。公開満足感・描画満足感の両者に対し、ポジティブフィードバックは正の効果を持ち、ネガティブフィードバックは負の効果を及ぼしていた。 イラストサイトはコミュニケーションツールとしての側面よりも、理想の絵に近づくための芸術的追及のための側面のほうが強いということがわかった。