「購買方法が情報探索行動に及ぼす影響と、方法による意思決定過程の違いについての研究」

那須友美

今日の消費市場においては、通信販売の市場規模が拡大し、2004年に初めて市場規模が3兆円を超えたとして注目を集めた。また、その中でもインターネットを利用した通信販売の比率が高く、購買方法や流通のあり方など、市場全体に大きな影響を与えている。
通信販売の特徴は、通常では購買行動の前に行われると考えられてきた購買前情報探索行動について、情報探索行動と連続した一連の手続きにおいて購買意思決定が行われるという点である。さまざまな購買手段、情報収集手段が提示されている現在において、購買方法の違いが情報探索行動にどのように影響を与えているのかを明らかにするために、研究を行った。
調査は大学生を対象として行い、有効な回答数として158人分のデータを得た。
分析は、情報探索量を従属変数とし、情報探索の各規定因と購買方法を独立変数として回帰分析を行った結果、購買方法は情報探索量に対して有意な効果を持つことが示された。
次に、各購買方法において、下のモデルに沿ってパス解析を行った結果、変数間の関係も、購買方法によって異なっていた。

具体的には、通信販売において、下調べと属性検討をよく行い、店舗での購買においては、情報収集の量は少ないが、多くの情報源から情報を得ていた。
また、店舗での購買においては、購買の計画性、既有知識、関与なども情報探索量に対して効果を持ち、購買の計画性と関与が満足度を規定した。
通信販売においては、関与のみが情報探索量に対して効果を持ち、下調べの量が満足度を規定した。しかし、情報源の数については有意な結果は得られなかった。
購買過程における属性検討については、店舗での購買においても通信販売においても知覚リスクと関与が効果を持った。満足度については、有意な結果が得られなかった。

本研究においては、通信販売のデータが少なかったことや、情報探索行動においての時系列的な区別があいまいになってしまったこと、多様な通信販売の方法をひとつにまとめて扱ったことなどの問題点が考えられる。購買方法が意思決定過程における情報探索に効果を持つという仮定はおおむね支持されたため、さらに消費者の個人内家庭に適した情報探索行動のモデルや、通信販売の中でもさらに書く方法の特性を考慮した研究が今後求められるだろう。