SNS(mixi)における自己開示度と類似度が対人的魅力に及ぼす効果〜あなたの魅力はあなたが作る〜Web2.0時代の魅力を探る

山内 みどり

近年日本でブームを起こしたソーシャル・ネットワーキング・サービスまたはソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)であるが、SNSのトップページの印象について本研究では議論する。
これまでインターネットに関連した研究はなされてきたが、SNSについての研究はまだ新しいといえる。本研究では日本のSNSの中でも一番多い利用者数を誇るmixiを対象とし、そのトップページの特性の検討を行った。すなわち、SNS(mixi)のトップページにおいて、その書き手がそのページの訪問者に高く評価されたり、好印象を持たれたりする場合にはいかなる自己開示を行い、またいかなる類似性があるか、その特性について検討することを目的とした。

まずトップページを見てその書き手の印象を評価する際に、どのような点に注目するかについて、トップページにおける自己開示度と、そのトップページの書き手と訪問者の類似性が関係すると考えた。そしてこれらの違いが自分との相性・相手に対する興味に関するもの、相手の属性に関するもの、相手の能力に対する信頼に関するもの、の評価にどう関係するか検討した。
これらを検討するために、以下のような仮説を考えた。
@トップページの自己紹介の部分においては、相手への興味や相性・属性・能力に対する信頼への印象全てに対して、書かれている内容が多いほど訪問者からの印象が良いであろう。
Aトップページの自己紹介の部分で自分の性格に言及した方が、相手への興味相性・属性の印象に対して、訪問者からの印象が良いであろう。
Bトップページの自己紹介の部分で、自分の経歴などの詳細について述べている方が、訪問者からの印象が良いであろう。
C日記が公開されていない方が訪問者からの印象は良いであろう。
D趣味が共通である方が、相手への興味相性に関する印象に関して、訪問者からの印象が良いであろう。
 
以上の仮説を検証するために、2006年10月24日から11月21日にかけて、「mixi」内の調査者(山内)のマイミクシィ(調査者とリンクしている友人)と調査者の友人の友人で「mixi」を利用している者の中で、調査協力者にアンケートを送付して行われた(回答数280, 有効回答率92.1%)。
その結果、SNS(mixi)のトップページにおける自己開示において、第一に、友達になりたがっている感じが出ている方が、自己紹介が短い方が、そして内容は豊富な方が、訪問者はトップページの書き手と自分の相性がよいと思い興味を持つこと、また本名を出した自己紹介を書いていることも訪問者はそう思う傾向があること、第二に、自己紹介が長く、その自己紹介の内容が豊富だという特性を持ったトップページが、訪問者はトップページの書き手を積極的だとか人気者そうであるなどと思う傾向のあること、第三に、自己紹介の内容が豊富であり、また日記が公開されていない方が、訪問者はトップページの書き手を有能だ、理知的そうだ、と思うということが分かった。
また訪問者とトップページの書き手との類似性については、第一に、同じ趣味・嗜好のコミュニティが多くあるほうが、また趣味が共通な方が、訪問者は自分と相性がよいと思い興味を持つこと、第二に、現住所が共通でない方が、年齢が共通でない方が、訪問者は書き手を積極的だとか人気者そうであるなどと思うこと、また生年月日が共通な方が、職業が共通な方が、訪問者は書き手を積極的だとか人気者そうであるなどと思う傾向のあること、第三に、マイミクが共通であることが、訪問者は書き手を有能だ、理知的そうだ、と思うということが分かった。
従って仮説@仮説Dは支持、仮説Cは部分的に支持された。仮説A仮説Bは支持されなかった。

さらに、トップページの書き手のマイミク数とコミュニティ数の印象が書き手の評価にどのように関係するかを調べたところ、訪問者は、マイミク数が多いと、書き手を積極的だとか人気者そうであるなどと思うことが分かった。
また回答者自身のマイミク数、コミュニティ数が、相手の評価に対してどのように関係するかを調べたところ、自分のコミュニティの数の多い人は相手に対する興味が高いという傾向、また、自分のマイミク数が多い人は相手に対してあまり高い評価をしないことが示された。
今後、SNSの特徴であるトップページの写真の効果や個人のネットワークの可視化の効果なども含め、更なるトップページの特性について詳細な研究が待たれる。