人間関係の多様性はいかにして形成されるか―「弱い紐帯」と寛容性に注目して―

黒田英佑

「弱い紐帯」と寛容性が人間関係の多様性に与える影響を調べるために質問紙調査を行った。なお「人間関係の多様性」の指標としては「所属するコミュニティの数」を用いた。@「弱い紐帯」についての話題選択と寛容性がそれぞれ、所属するコミュニティの数にポジティブな効果を持つと考え、分析を行った。その結果、前者の効果は部分的に支持された。後者についても、異質な他者に対する理解を媒介して、ポジティブな効果を持っていた。A寛容性については、異質な他者に寛容な人ほど相互理解に努める傾向があると同時に、寛容でない人ほど我慢しようとする傾向があった。Bコミュニティ内が多様であると認知している人ほど、「弱い紐帯」についての話題を選択する傾向があり、寛容性が低くなる傾向があった。C「弱い紐帯」の利用度は、友人との関係が親密なほど、あるいは信用の裏付けがあるほど高まることが分かった。最後に、リサーチ・クエスチョンとして以下の2つを検討した。Dどのようなコミュニティにおいて情報の利用度・満足度が高くなるかを調べた。その結果、コミュニティの種類やかかわりの強さに関わりなく、コミュニティ内の紐帯が強いかどうかが、情報の利用度・満足度にポジティブな効果を持っていた。E「弱い紐帯」間の援助行動につい・て調べた。その結果、援助行勤と援助利用の度合いには正の相関があることが分かった。