一般的信頼感,安心感,寛容性とネットワークの拡大および愛着,互酬性が情報収集に与える影響について

平井雅史

 ネットワークの情報利用に効果をもつ心理的要因を分析するために質問紙調査を行った。分析においてはネットワークでの情報の利用の流れをネットワークの増加段階とネットワークの利用段階に大別し、それぞれの段階において重要な要素を分析した。ネットワークの増加段階においては一般的信頼感はネットワークの多数性を、寛容性は多様性を、安心感はアクティブな活動をそれぞれ促進している事が分かった。ネットワークでの情報利用において
はネットワーク(ここではコミュニティ)に対する愛着と互酬性が情報の利用を促進していた。ただし、紐帯の強さによってそれらは使い分けられている可能性があり、強い紐帯のときには愛着が、弱い紐帯のときには互酬性が効果を持っていると言う結果がでた。また一般的信頼感は愛着を促進する事で間接的に情報利用に効果をもち、安心感は互酬性を促進する事で間接的に情報利用に効果をもっていた。最後にネットワーク外の第三者からの情報利用を促進する心理要素を分析したところ、強い紐帯とつながった外部情報が利用されやすい事が分かった。また心理的要因としては一般的互酬性が情報利用の促進効果をもっていた。一般的信頼感は一般的互酬性を促進する事で間接的に第三者からの情報利用率に効果をもっていた。