藤田 俊介
本研究では、IATの心理測定的な特徴に関するこれまでの知見をまとめるとともに、IATによって測定された潜在的態度と、自己報告尺度によって測定された顕在的態度がどのような関係にあるのかをレビューする。
IAT(implicit association
test:潜在連合テスト)は1998年にグリーンワルドらによって開発され、開発から12年あまりが経過している。顕在的な態度測定にともなう態度の偽りなどの制約を越える手法としてIATは多くの分野で扱われ、その知見を積み重ねている。本研究ではまず、これまで積み重ねられたIATという測定法に関する信頼性・内的/外的妥当性などの基本的特徴についてまとめている。
潜在的な態度が、顕在的な態度とどのような関係にあるのかということは潜在的な測定法が生まれて以来の大きな問題である。初期の研究では、潜在的態度と顕在的態度の相関が低いことを証拠に、潜在的態度と顕在的態度の違いが強調されていた。しかしIATの広まりと共に、潜在的態度と顕在的態度が正の相関を持つ状況も発見されるようになるにつれ、どのような時に潜在的態度と顕在的態度が相関するのかといった点に研究の力点がおかれるようになってきた。本研究では潜在的態度と顕在的態度の関連について扱われた研究をまとめることで、潜在/顕在的態度研究の将来を見据えたい。