LMX理論に基づく、NPOにおけるリーダーシップ

柴田晃一

近年、非営利にて社会問題の解決を目的とする活動が活発化している。こうした非営利活動団体(以下NPO)の活動は質、量ともに拡大しており、大規模な組織構造を持つ団体も数多く見られるようになった。人が集団で一つの目的に向かう時、そこには必ずリーダーとフォロワーの関係が発生する。本研究では営利を目的としないNPOのような組織において効果的に働くリーダーシップをLMX(Leader Member eXchange)理論の観点から検証した。主な研究内容としてはリーダーとメンバー(フォロワー)が組織内で何らかの交換関係にあるという理論的仮定を踏まえて、NPOにおける良好な交換関係がいかなるものかを明らかにすることである。良好な交換関係を“互いに求めるものが授受されている状態”と定義し、先行研究などからメンバーが共有的権限感を受け取りリーダーがコミットメントを受け取る度合いが大きいほどに両者の交換関係は良好になると仮説を立てた。結果としてはそれぞれの交換財の授受については主効果が見られたものの、交換による交互作用は見られなかった。本研究の意義として、LMX理論における良好な交換関係を具体的な要素として検証した点とNPOにて有効なリーダーシップを明らかにした点の2点が挙げられる。