2015年度 学会活動

日本科学哲学会第48回大会@首都大学にて開催されるワークショップ(企画者:信原幸弘)において、下記の発表を行います。
 
唐沢かおり 心の知覚と道徳的判断について(11月22日)

2015/10/31

伊藤 健彦・唐沢 かおり

企業の大学びいきが不採用時の原因帰属に与える影響

10 : 00〜10 : 15 (口頭)

 

櫻井 良祐・渡辺 匠・唐沢 かおり

既達成の目標によるセルフ・ライセンシング:社会的排斥時における自己制御過程に着目して

15:45〜17:45 (ポスター)

 

谷辺哲史・橋本剛明・唐沢かおり

非生物に対する心の知覚と道徳的態度の関連

15:45〜17:45 (ポスター)

 

橋本剛明・唐沢かおり

特性的な勢力感が制裁と寛容に与える影響

15:45〜17:45 (ポスター)

 

埴田健司・石井国雄・田戸岡好香

スーツを着た私はまじめ?:スーツの着用がまじめさの自己認知と行動に及ぼす影響

15:45〜17:45 (ポスター)

2015/11/1

石井国雄・田戸岡好香

他人の作ったおにぎりへの抵抗感に影響を及ぼす要因の検討

12 : 00〜14 : 00 (ポスター)

 

田戸岡好香・石井国雄・沼崎誠・村田光二

女性の自己表象がキャリア男性と専業主夫への印象に及ぼす影響

12 : 00〜14 : 00 (ポスター)

 

二木望・唐沢かおり

心理的本質主義がジェンダーシステム正当性認知に及ぼす影響

12 : 00〜14 : 00 (ポスター)

 

松本龍児・渡辺匠・唐沢かおり

自己と他者についての自由意志信念が援助意図に与える影響

12 : 00 ~14 : 00 (ポスター)

2015/10/11

伊藤 健彦・唐沢 かおり

就職活動における企業の大学びいきが不採用の原因帰属に与える影響:日本と米国の学生を対象として

14:00~15:30 (ポスター)

 

松本龍児・渡辺匠・唐沢かおり

自由意志信念が福祉政策への賛意に与える影響

14:00~15:30 (ポスター)

2015/10/12

谷辺哲史・白岩祐子・唐沢かおり

裁判員制度の目的を知ることが制度への態度に与える影響

13:45〜14:00 (ショートスピーチ)

2015/9/22

笠原 伊織・宇佐美 まゆみ

ステレオタイプのプライミングが言語行動に及ぼす影響: コミュニケーション場面を対象に

9:20~11:20 (ポスター)

 

二木望

生物学的本質主義が人間らしさの知覚に及ぼす影響

15:30~17:30 (ポスター)

 2015/9/23

伊藤健彦

就職活動における企業の大学びいきが嫉妬感情に与える影響

9:20~11:20 (ポスター)

2015/9/24

講演者:橋本剛明(京都大学)

司会:唐沢かおり

社会的侵害場面における制裁・許しの規定因としての勢力感の検討

11:40~12:40(小講演)

Ito, T., & Karasawa, K.

The Effects of Company’s University Favoritism on Causal Attribution and Social Consequences

2015/6/14

戸田山和久・山口裕幸・唐沢かおり

心理尺度と操作的定義を反省する

2015年6月14日(日) 11:30~12:00@北海道教育大学札幌校

東北大学にて開催される応用哲学会で、下記のワークショップを行います。
 
WS02
4/25(土)13:15 - 15:15 B 会場(C202)
戸田山和久・唐沢かおり・山口裕幸・山田圭一
実験哲学と概念工学
 
 従来、哲学は、知識・自由などの概念の分析に携わってきた。その際に依拠してきたのが、哲学者の「直観」的判断やそれをコアとする思考実験だった。こうした哲学的方法に対する異議申し立て、あるいはオルターナティブとして、近年、実験哲学が注目されてきた。実験哲学は、一般人の概念理解を心理学実験により実証的に明らかにすることで、概念分析に資することを目指している。この領域が形成された当初は、哲学者の直観が必ずしも一般人とは共有されてはいない特殊なものである可能性を指摘し、分析哲学の研究手法を批判するプロジェクトとしての側面が強かった。しかし、いまや、概念認識の文化差や性差(または普遍性)を明らかにしたり、責任や自由意志、意図など、哲学的に重要な諸概念をめぐる判断過程を明らかにしたりなど、さまざまな方向に研究が展開されている。
 日本でも、実験哲学的な研究を進める研究者数は増加しており、社会心理学者や認知心理学者とのコラボレーションによる研究も進められ、通俗的な概念理解を哲学的観点から考察するという成果をあげている。また、心理学の側からみれば、近年の自由意志信念の研究など、哲学者がもっぱら議論していた概念に着目し、道徳的判断や自己制御研究との融合により新しい研究の展開が見られたり、さらには、ゲティア・ケースのような心理学がほとんど取り扱ってこなかった問題を提起したりするなどを通して、心理学の研究領域を拡張する上で貢献してきたと評価することができるだろう。
 しかし、そのような状況にあって、実験哲学が今後目指すべき方向や、その可能性については、いまだ議論が十分に熟成しているとは言いがたい。一般人の概念理解の多様さを根拠として、哲学者の直観に基づく分析を批判するためのプロジェクトにとどまるのであれば、その後の有効な研究法略の示唆には繋がらず、旧来の分析哲学に携わる哲学者たちの理解も得られない。また、概念の理解の実体や、性差・文化差を記述的に示したり、さまざまな概念に関わる判断過程とそれに関与する要因を解明したりするというのであれば、心理学が従来行ってきた研究と同じことに携わっていることになる。実験「哲学」と名乗るからには、哲学が伝統的に蓄積してきた規範的議論の成果を生かしつつ、哲学が担ってきた「概念を分析する」という課題と向き合うなかで、一般人の理解という実証データを参照しつつ生かす方向を目指すことが求められるだろう。
 そのような方向を持つ研究志向のひとつとして、「概念工学」を提案したい。概念工学とは、哲学が取り扱ってきた重要な諸概念の内容を、よりよい社会設計やよりよい個人の生き方にとって貢献することが可能となるよう、あらためて作り上げていく(エンジニアリングする)ことを目指す研究領域と(当面は)定義しておく。つまり、概念が「同であるのか」を超えて、「どのようであるべきなのか」を、人や社会のウエルビーイングとのかかわりから規定していくのである。また、この領域は、社会貢献を目指すベクトルを含んでいるので単に概念を分析する作業のみならず、その成果を一般社会に伝達するための方法論に関する議論、いわゆる科学コミュニケーションとしての研究も含む。このような方向性は、哲学と心理学の融合の成果である実験哲学を応用的に展開するためには不可欠であるが、その実現のためには、分析哲学が関連諸学、とくに心理学と連携し、重要な諸概念をめぐる研究知見を集約するとともに、新たな課題を発見するという作業が必要となるだろう。つまり、研究領域としての可能性や、哲学および関連領域における有効性、問題点については、哲学者と心理学者がともに議論することで考察を進めることが必要となる。
 以上の問題意識を背景として、本ワークショップでは、実験哲学から概念工学への展開に関する議論を深め、今後の可能性を探ることを試みる。戸田山と唐沢が、それぞれ哲学と心理学の立場から、実験哲学の問題点や概念工学的な研究の必要に関する議論を、また、山口が心理学の立場から概念工学への期待や哲学と心理学との連携可能性に関する議論を、さらに、山田が哲学の立場から実験哲学や概念工学という提案についての批判的検討を行うこととする